2021年 F1第6戦 アゼルバイジャンGP 決勝

第1スティントで見事なオーバーカットを決めたレッドブルの2台がトップを快走。残り5周、ファステストを叩き出したマックス・フェルスタッペンは、あとはチェッカーを受けるのみかと思われたが、ホームストレートでリアタイヤがバーストしリタイヤ、レースは赤旗中断に。

再開は残り2周でスタンディングスタート。2番手から一発勝負をかけたルイス・ハミルトンがターン1を制したかと思いきや、ブレーキが機能せずそのまま直進、最後尾に沈む。首位を守ったセルジオ・ペレスレッドブル移籍後初優勝。2位には今週もオーバーカットで躍進した、アストンマーティンセバスチャン・ベッテル、3位はアルファタウリのピエール・ガスリー

  1. セルジオ・ペレスレッドブル・ホンダ)
  2. セバスチャン・ベッテルアストンマーティン
  3. ピエール・ガスリー(アルファタウリ)
  1. 角田裕毅
 F1 に相応しくないタイヤ

トロールのタイヤがバーストした時、30周でハードタイヤは危険、そして殆どのクルマがレース終盤にその状況になることは分かっていた。この時点でピレリは、マシに『申し訳ないが、我々のタイヤは危険だ。ここは赤旗を出して全車にタイヤ交換を課し、30周が上限だと伝えてくれ』と具申すべきだった。ピレリからこのような申し出が無くとも、マシが判断すべきだというのが一般論だと思うが、残念ながら彼にはそのような判断力が備わっていない。

土曜日からリアタイヤの最低内圧が 1psi 上げられ、20psi となった。ピレリは金曜日をタイヤ評価の日だとでも考えているのだろうか。あるいはチームに金曜日のデータに補正をかけさせることで、波乱を演出しているのだろうか。今年、タイヤを強化してきたのは何のためなのか?

僕は以前から、今の F1 は、ピレリタイヤを世界一上手く使おう選手権に成り下がっていると言ってきた。しかし、現状はそれよりも悪いことが分かった。F1 に相応しくないタイヤと、適切な判断力を持たないレースディレクターの下では、ドライバーの命が危険に晒されてしまうのだ。ランスとマックスが誰も巻き込まず、二人とも無事だったことが嬉しい。

去年より柔らかいコンパウンドを選んできたことから、1STOP のウィンドウが狭まり、これならレースも面白くなるし、よい強化をしてきたのだと思っていたのだが、買い被りだった。ピレリピレリだった。以後は保守的なアロケーションに戻るだろう。発表済みのものも変更されるかもしれない。来年からミシュランに戻ってきてほしいものだ。

以上が、マックスから勝利を奪ったタイヤへの、ファンからの恨み言である。

ただマックスが終盤、ペースを上げてファステストを出した時に、レッドブルは懸念を感じていないのかと不安になったことは事実。ペレスの邪魔にならない範囲で、ペースを抑えても良かったのではないか。

モナコライクな S2 ではなくほぼモナコなトラック

フェラーリは、ルクレールがノリスの前の4位、サインツがリカルドの前の8位で、コンストラクターズ順位でマクラーレンを逆転。今週はスタートできたポール・シッターも、レース序盤で次々と抜かれていき、タイヤ交換も早かった。けど予選での速さは本物だったと思う。サインツオーバーランで順位を落としてこの結果だから、よく挽回した。

同じくモナコで好調だったアストンマーティンもここで速かったし、各所でオーバーカットが成功したことから、勢力図としてはモナコと変わらなかったと考えていい。ベッテルに至ってはアストンマーティンにとって初めてのリードラップと、復帰後の初表彰台をもたらしたのだから、今更ながらこの2チームは、シンガポールの開催中止を残念に思っているのではないか。

メルセデスの調子が上がらなかったのも同じ。今週末は強いと思われていたが、それがフランスまで持ち越されたに過ぎない。ここで無得点に終わってくれたのは、レッドブル・ホンダには有難いことだろう。

そろそろ、本当に追い込まれていると思い始めた

再スタート時のオーバーランは、ルイスのブレーキデバイス設定ミスが原因だったことは、レース後すぐに報道されていたが、この時すでにマックスはリタイヤしており、18点取れれば御の字だということは明らかだった。それでも25点を取りにいこうとしたのは、やっぱりレッドブルを脅威に感じているからだと思う。今まではトトやルイスが何を言ってもブラフとしか思えなかったのだが、本当なのかもしれない。

これまでのシーズン、フェラーリベッテルがルイスを脅かすことはあっても、キミはなかなか勝てなかった。ここでチェコが勝ったのも大きいと思う。それでも、フランス、オーストリアと圧勝されたら、自信を取り戻すんだろうけどね。

これで3勝3敗だ、Keep Pushing!!

Q3 進出、7位入賞おめでとう

最後に角田、今週末は及第点だった。初の Q3 進出と、開幕戦以来の7位入賞、おめでとう。スタートでも再スタートでも老獪なアロンソにしてやられたね。でもバトルはフェアだったし、マシンを壊さなかったのは偉い。こうやって経験を積んでいこう。