ピレリタイヤの破裂は誰の責任でもないの?

 ピレリから発表された調査結果は、大方の予想に反し、デブリ説を否定し、スタンディング・ウェーブ現象によるものとのことだった。津川さんの分析が正しかったということになるんだと思ってる。ただ、タイヤの構造に問題はなく、チーム(レッドブルアストンマーティン)の使い方にもレギュレーション違反はなく、ピレリが想定していた走行状態ではなかったから、というところが、しっくりしない。

 しっくりこないのは、確かにチームはレギュレーション違反をしていないが、その網の目をくぐって、指定した最低内圧より低い状態で走行していた、と言ってるに等しいからだ。それは、FIA が直ちに発行した技術指令書が補強している。既にマックス・フェルスタッペンは噛みついているようだが、これには同意せざるを得ない。

 バクーの土曜日から、ピレリは最低内圧を 1psi 引き上げた。これは、金曜日の走行データから決められたものだが、だったら土曜日のデータから、この日の変更が妥当であったか検証しなかったのだろうか。メーカーなら当然のことだし、F1 という舞台にタイヤという重要なパーツを供給するという立場なら尚更だろう。仮にピレリが、各チームが最低内圧を遵守していると信じ切っていたとしても、この確認をしておけば、今回の事態は発生しなかったことになる。

 しかしピレリは、チームが何らかの手段を用いて、内圧を低くしていることを確信している。ならば、20psi といった具体的な数値はどうでもよくて、確信に基づいた検証をおこなえたはずだ。仮にチームが決勝にだけ内圧調整をおこなっている(当然、そうなんだろう)としても、確信に至った経緯を考えると、データを補正するのに十分な根拠が手元にあるはずなのだから。

 結局、どのように仮定したとしても、ピレリは怠慢だったことになる。

 また、実際に取られたアクションは技術指令書だけなのだから、実質的にピレリは何の対策も取っていないことになる。タイヤには問題がないという自信があるのだろう。2台のレースを台無しにしておいて、有り得ないと思う。自ら内圧を指定できる立場にありながら、レースに耐えるタイヤを作れない。これを認めず、運用するチームに責任を転嫁するものの、妥当な運用(最低内圧)も提案することができない。

 タイヤが決める世界選手権、いい加減、勘弁してほしい。ピレリは F1 に相応しくない。

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