2021年 F1第7戦 フランスGP 決勝

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが総力戦を制して今期3勝目。レッドブルモナコから3連勝で、現行 PU になってからは初。メルセデスルイス・ハミルトンは残り2周で逆転を許し2位。3位にはセルジオ・ペレスが入り、選手権はドライバー、コンストラクター共に、レッドブルがリードを広げた。

  1. マックス・フェルスタッペンレッドブル・ホンダ)
  2. ルイス・ハミルトンメルセデス
  3. セルジオ・ペレスレッドブル・ホンダ)
  1. 角田裕毅(アルファタウリ)
チームの戦略、ドライバーの技量、チームメイトのサポート、全てが注がれた総力戦

 ホールショットで1コーナーを制したかに見えたフェルスタッペンだったが、まさかのオーバーラン。第1スティントはルイス・ハミルトンが先行。3位、4位にはボッタス、ペレスがグリッド順で続く。ハミルトンはペースを抑えてコントロールするが、4位のペレスは徐々に遅れてゆく。

 フェラーリを皮切りに中団が次々とタイヤ交換。トップ集団のバルテリ・ボッタスもアンダーカットを仕掛けるが、フェルスタッペンが反応。ボッタスを後ろにとどめると共に、それに反応したハミルトンをアンダーカット。しかし、ハミルトンは DRS 圏内で食い下がり、上位3台は連なってタイヤを消費していく。遅れたペレスはステイアウトし、前3台に対してタイヤのオフセットを築く。

 中盤、バルセロナとは逆に、レッドブルがレースを動かす。ハミルトンとの差を一時的に約2.5秒に広げたフェルスタッペンがピットイン、ユーズドのミディアムでメルセデスを追う。反応しても後ろに戻るだけのメルセデス勢は、必然的にステイアウトを強いられ、守勢にまわる。

 終盤、フェルスタッペンに追いつかれたボッタスがターン8でミス。フェルスタッペンはシケイン立ち上がりのストレートで並びかけ、ターン10でオーバーテイク、先頭のハミルトンを追う。ハミルトンもそこから自己ベストを更新、タイヤが落ち始めたフェルスタッペンに対し最後の抵抗を試みる。その後方で、タイヤが終わったボッタスを流石のタイヤマネジメントで追い上げたペレスが攻略、3位に浮上。トップは残り2周、ターン8手前の DRS 区間でフェルスタッペンが並びかけ、ブレーキングでハミルトンをオーバーテイク。激戦に終止符を打った。

今シーズン最も熱いレース

 いやあ、熱かった。ミディアムを履いたときは、残り周回数を考えると、追いつく頃にはマックスのタイヤも終わってて手が出せないと思えた。それをやってのけたのは、マックスの技量。やれると信じてあのタイミングで入れた、ストラテジストの決断。驚速のタイヤ交換含め、落ち度は1周目のターン1だけだった。

 メルセデスメルセデスで、ボッタスを壁に残し抵抗。ルイスも終盤、一時的ではあるもののマックスと同程度までラップタイムを引き上げる凄腕を見せる。ボッタスは抜かれた後に無線で文句を言っていたが、今回はキミがウイングマンなんだから受け入れようね。

 チャンピオンシップを争うチームとドライバーがやれることをすべてやり、その結果、このメルセデスの牙城とも言うべきポール・リーカルでの勝利には大興奮。この観戦記を書ききるまで寝られなかった。一方に明確なアドバンテージや致命的なミスがなくガチンコでメルセデスが負けたのって、いつ以来だろうか?

 次のレッドブルリンクは、これまで比較的レッドブルのマシンと相性が良かったコース。このまま5連勝とすれば、いよいよルイスとトト・ウォルフも冷や汗をかいてくるだろう。

角田はピットスタートから13位完走

 1周目が良かったから期待したんだけど、本来なら攻略してかなきゃなんないアルファタウリを抜きあぐね、アンダーカットを狙うため早めのタイヤ交換を強いられる展開。結果的に序盤で抜いたウィリアムズのジョージ・ラッセルの後ろでフィニッシュ。堅実にマイレージを伸ばせたのは良いとは思うんだけど、ちょっと残念。

 毎度毎度、まずは順調に週末を乗り切ることと言ってるけど、次はもう第8戦。3連戦だから立て直すのは難しいぞ。頑張れ!