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レッドブルは目下4連勝中で、マーク・ヒューズがジョルジョ・ピオラのイラストと共に、ここ数戦のグランプリではメルセデスよりも優れていた RB16B の開発を一覧する。
レッドブルは2021年の開発計画を積極的に進めており、シュタイアーマルクグランプリでの2台のクルマの外形から、ライバルのメルセデス W12 に対して RB16B がジワジワと前に出ていることが導かれる。マックス・フェルスタッペンは、予選で0.2秒差をつけてポールを獲得し、レースでは全てにおいてルイス・ハミルトンを圧倒した。
過去4レースでは、間違いなくレッドブルが優位に立つ傾向にあった。ポール・リカールとレッドブルリンクでは、求められる要素が大きく異なるにもかかわらず、ポールを獲得している。更にメルセデスは、まだ新しいパーツを投入しているものの、2022年に全力を注ぐようスイッチしたため、相対的に2021年の車体開発は縮小していることを認めている。
2021年のレギュレーション下において、メルセデスが、彼らのローレーキコンセプトには、開発の余地が余り残されていないと感じていることにも関連している。一方でハイレーキのレッドブルは、更なる空力開発を迅速に投入している。またチームには8年ぶりの世界タイトルが懸かっており、無視することはできない。
レーキ角とは、車体前方から後方に向けた、車高の傾きを指す。他と比べてリアをフロントに対して大きく持ち上げている場合は“ハイレーキ”、それ程でもない場合は“ローレーキ”と呼ばれている。
結果、開発パーツは続々と持ち込まれており、最近はディフューザー周辺に集中している。レッドブルリンクでマックス・フェルスタッペンは、モナコのプラクティスで初登場した“鮫の歯”形状のディフューザーの最新バージョンを使っていた。
より多く開発部材をファクトリーから絞り取るように投入しているため、この最新パーツはたった1つしか製作する時間がなかった。シュタイアーマルクグランプリの週末で、セルジオ・ペレスは以前のバージョンを使っている。彼には今週末のオーストリアグランプリで新バージョンが与えられる予定だ。
これら両スペックのディフューザーは、ディフューザーの上を抜ける気流のチャネルにガーニーフラップのような処理があり、そこの鋸歯で生成される渦流が、気流を更に加速する。この鋸歯は、以前のバージョンでは、ディフューザーの外側だけに取り付けられていた。
最新バージョンでは、その鋸歯が横幅いっぱいに施されている。ここで生成される渦流は、低速コーナーで速度と共にダウンフォースが減少し、ディフューザーが路面から離れていく時でも、ディフューザーの上を抜ける気流全体を維持することができる。
フロアの下を通ってディフューザーを抜けてくる気流と、ディフューザーの上から来る気流の合流は、車体を路面に吸い付けるアンダーフロアの役割にとって、非常に重要である。これらの気流を低速域でどれくらい定着させておけるかによって、実際にどれくらいのレーキで走れるかが決まる。よりレーキを付けて走行するこができれば、ダウンフォースはより大きくなる。
この鮫のような鋸歯により、レッドブルは以前よりも、車高が高い状態でディフューザーの気流を効果的に定着させられているのだろう。アンダーフロアで生成するダウンフォースを大きくすることができれば、同じダウンフォースを得るために必要なリアウィングは薄くなる。
リアウィングで生成するダウンフォースには、大きなドラッグが伴う。アンダーフロアで生成するダウンフォースのドラッグは、非常に小さい。つまり、もしレッドブルが、この最新のディフューザ調整により、ダウンフォース全体におけるアンダーフロア分の割合を大きくすることができているなら、コーナリング速度を犠牲にすることなく、ストレートが速くなるだろう。
これは正に、ここ2レースでメルセデスがレッドブルに対して目の当たりにしてきたことで、シルバーアローはレッドブルリンクのストレートで0.25秒失っていたとしいる。
ハイレーキのクルマは、リアのブレーキダクトを抜ける気流と、ディフューザのストレーキを抜ける気流とをうまく合流させられるので、このようなディフューザの調整により、ローレーキのクルマよりも大きなアドバンテージを得られる傾向にあるのかもしれない。21年の空力レギュレーションでは、車体のこのエリア周辺が制約を受けているため、尚更である。
これはメルセデスが、レッドブルが未だに大きなゲインを得ているなかで、マシン開発の可能性を実質的に使い果たしていると感じる理由なのだろうか?