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メルセデスのアップグレードは、ルイス・ハミルトンにシルバーストンでの F1 8勝目をもたらし、マックス・フェルスタッペンとのタイトル争いにおいて大きな追い上げとなった。マーク・ヒューズが、このアップグレードを解説する。
メルセデスは数レース前に2021年の風洞計画を終了しており、2022年型マシンに完全に移行している。この限られた計画での最後のパーツがようやく製造され、イギリスグランプリでマシンに搭載する準備が整った。
これらは、バージボード周辺をまとめて改変したもので、フロアの前方、フロアエッジの再形成、ディフレクターの角度調整から成っている。
構成変更されたベーンと格子の緻密さは図から確認できるが、重要なのは、何を目的としているかだ。これらからは、アンダーフロアの気流と、この気流とディフューザーを抜けたところで合流する、サイドポッド周辺を抜ける気流との関連性を重要視し始めたことがうかがえる。
クルマが空力を得られる気流の総量は限られており、フロア下とフロア周辺それぞれに導く気流の最も効果的なトレードオフを実現することは、空力担当者が追求するものの核心である。
メルセデスは、フロアの前方で気流を更に抜き出し、その部分を低圧にすることで、フロア全体をより機能させようとしているようだ。この気流がディフューザーから抜け、サイドポッドの周りを抜けた気流と効率的に再合流することで、この気流をより強力に機能させられたら、更にいい。
メルセデスのアンダーフロアは、ハイレーキカーと比べて角度が緩く、路面を引き付ける力を強くするには限界がある。
前戦オーストリアと比べてサーキットレイアウトが大きく異なるため、どれくらいが最適なのかを判断するのは非常に難しい。にもかかわらず、メルセデスはシルバーストンで予選最速だった。これは、セッションが週末で最も涼しく、レッドブルがフロントタイヤを作動温度領域に上げるのに苦労していたことによるところが大きい。
他の走行時間での路面温度は十分に高く、レッドブルはこの問題と無縁だったため、RB16B は速かった。
しかし、この最新のアップグレードは、メルセデスが比較的薄いリアウィングでいくと決断できたことに間違いなく関連している。オーストリアでは、彼らはレッドブルよりも大きなウィングで走行していた。
シルバーストンでは薄いウィング(上図)で走行していたが、これは単に、大きく異なるクルマが、大きく異なるトラックで走行することによって生じる、ドラッグとダウンフォースのトレードオフの違いによるものだろうか? それとも、メルセデスの最新アップグレードによって、彼らはより効率的に走行できるようになったからだろうか?
その答えは、今後のレースで明らかになるだろう。しかし、メルセデスが21年最後のレモンを絞り、いくらかの果汁を得たことは間違いない。