フェラーリがメキシコシティで試したブレーキから垣間見る、この先の F1

出典:

www.formula1.com

 メキシコシティグランプリではっきりとした、フェラーリがシーズン終盤に持ち込んだアップデートを、マーク・ヒューズが確認する。イラストはジョルジョ・ピオラの提供。

 シーズンのこの段階では、車体の空力開発計画は完全に終了している。しかし、これは各チームが理解を深めることを止めたわけではない。

 先週末のメキシコで、フェラーリは新しいフロントブレーキダクトのアッセンブリーを導入した。これは2022年のレギュレーションに向けたプロトタイプだ。このレギュレーションの主な目的は、空力的に伴流を整え、後方の乱流を抑制することによって、前のクルマに接近することを容易にし、オーバーテイクを促進することだ。

 この一環として、現在はブレーキダクトを通った気流を直接ホイールに吹き付けているが、実質的にこれが禁止される。ホイールから空気を抜くことで気流が整えられ、更にダウンフォースを発生させているが、車体後方の乱流は大きくなる。

f:id:rotf:20211111004106p:plain

2022年のブレーキダクトは、レギュレーションによって、開口部が制限される

 吹き付け車軸は2019年に禁止されるまで使われていたが、空力担当者は、同様の効果を得るホイールハブのデザインを発見した。来年はホイールはカバーで覆われてしまうので、このやり方は不可能になる。

 この開発領域を閉鎖する一環として、レギュレーションでは、ブレーキダクトの開口寸法も制限される。ブレーキダクトが引き続きブレーキの冷却を担うことは間違いなく、これはチャレンジになる。

f:id:rotf:20211111004133p:plain

2021年標準のフェラーリのブレーキダクト。青い矢印は、キャリパーとディスクを冷却するための給気口。赤い矢印は、『ケーキの焼型』のような覆いとホイールの間を抜ける、タイヤの温度を調整するための気流。

 標高が高く空気が薄いメキシコは、ブレーキの冷却が1年で最も大きな課題となるため、先週末は、22年の開口寸法でブレーキを冷却することができるかを確認うえで、まさに『最悪のシナリオ』に相当したのだ。ブレーキサプライヤーブレンボも、この検証を補佐するために同席していた。

 最初のプラクティスでは、シャルル・ルクレールが2021年標準のブレーキダクトを、カルロス・サインツが2022年仕様で走行した。後者は冷却用の開口部を減らしているが、空力効果は21年のものだ。

 チームは、22年仕様で十分な冷却効果を得られ、ブレーキが完璧に動作したことに満足し、残りの週末は2台ともこのブレーキで走行していた。