2022年 F1第6戦 スペインGP グラフ付きレビュー

 全体的にラップタイムの差が大きいし、タイヤ交換が多かったから、どちらのグラフもとっちらかって見どころを見つけにくくなった。

 新レギュレーションでフィールド全体の格差は大きくなると思ってたけど、全体的に大きくなるんじゃなくて、トップ3と中団との差が広がっているのかもしれない。

 インタラクティブなのは(まだ)ギャップグラフのみ。今回の場合、Top 6 で絞り込んで LEC を追加すると、よく分かる。画像版は一番下。

Lap offset: Lap range:

Top 3, 6, 10のプリセットは Ctrl で反転。

ハミルトンは復活していた

 まず、ハミルトンのペースは確かに Driver of the Day に相応しいものだ。第1スティント(2周目からのソフトでのスティントを指してる)で言うと、ラッセルよりも速い。ピットアウト直後は差が広がってるけど、ここはやる気を失っていたからだろう。13周目以降から徐々に引き離されているけど、これは他と同じく、ソフトが12周前後で終わったということ。

 そして、ミディアムでの第2スティントが素晴らしい。ルクレールがいなくなり、マックスとラッセルが小競り合いをしていたこともあるが、23周目に75秒あった差を、45周目には30秒を切るところにまで持ってきている。

 第3スティントのソフトでもチェコと遜色ないペースで、ラッセルより速いが、この時のルイスはサインツを追っていたし、ラッセルは2位の見込みがなくなり、ペースを維持していたかもしれない。最後のトラブルによる落ち込みが、ラッセルよりかなり大きいからね。

 戦う相手が弱かったから、履くタイヤに合わせてスティントの長さを適正にすることができたのかもしれないが、1周目のトラブルさえなければ、マックスがラッセルを追うのを諦めてソフトに交換した戦略が採れなかったかもしれない。

恐ろしいルクレール

 27周しかタイムが計測されていないものの、ルクレールの強さが圧倒的だったことは十分に読み取れる。第1スティントはソフトで21周も引っ張ったが、スティント終盤でもミディアムのサインツと同じペースで走っている。ソフトタイヤが他より60%程度長持ちしたことになり、これはドライバーの腕もあるが、F1-75 に入れたアップデートが機能したからだろう。

 驚異的なのはミディアムでの第2スティントで、ラッセル、マックス、チェコの2位集団との差を一気に10秒以上に広げた。残念ながらここでレースは終わってしまったが、間違いなくマックスに勝ち目は無かったし、レッドブル以外を周回遅れにしていたかもしれない。恐ろしい...

頑張った角田

 ルクレールがいなくなった分の繰り上がりだが、入賞は入賞。よく頑張ったと思う。良かったのはミディアムでの第2スティントで、リカルドを突き放し、アロンソを抜き、ノリスに迫った。その後、ノリスからは少しずつ遅れていったが、アロンソとの差はキープできていた。なのに次のタイヤ交換でアロンソにアンダーカットを決められて(正確には、抜かれたのはコース上だけど、実質的にアンダーカット)しまい、そのままアロンソの後ろでチェッカー。

 アロンソとの差は3秒位あったのに、どうしてアンダーカットを許してしまったのか。ピットインサマリーも見ると、ここでアロンソがいい仕事をしていた。確かにアルファタウリのストップは、アルピーヌより約0.9秒遅かったけど、アロンソはタイヤ交換後、27秒7、27秒8と、27秒台を連発。対する角田は、29秒8、28秒6。2秒のラップタイムと、ピットストップの差で、3秒の差をひっくり返された。角田に反応して交換したすぐ前のノリスは、交換後28秒7だから、アロンソが如何に速かったかが分かる。

 その後、ノリスはタイヤに熱が入った後のペースがやや速くてふたりをじりじりと引き離したが、角田はアロンソに食いついていた。チェッカーを受けた時の差は3.8秒だったので、もしアンダーカットを許さず前に留まっていれば、9位の可能性は十分にあったと思う。チームがアルピーヌ並みの交換をおこない、角田がアウトラップをあと0.5秒速く走ったら、アロンソのアンダーカットは失敗していたかもしれない。

 予選が悪いときは決勝がいいってのは、タイヤの使い方だよね。いたずらにアップデートパーツを入れず、今あるマシンへの理解を深めるのはいいと思う。

ハースはどこへ

 マグヌッセンが1周目にルイスと接触して後退したのは分かってたけど、ミックは抜群のスタートでジャンプアップ後、特に映像に映ることもなくどこかへ消えていった。何があったのか? 見ると、2台ともデグが大きかったようだが、2台とも、スティントを伸ばしすぎだろう。ユーズドでもいいからソフトでスティントを増やせば、ミックは少なくともリカルドといい勝負ができたと思う。ケビンは遅すぎると言われていたハードを使ってしまい、ミディアムと同程度のデグに苦しんでいた。そりゃ、浮上できないよね。

 ポイントは難しかったと思うけど、戦略次第でもっと違ってたと思う。

 以下は画像、速くラップタイムチャートのコンテンツも作りたいなあ。

2022 スペインGP ラップタイムチャート

2022 スペインGP ギャップグラフ