バウンシング排除を狙う FIA による2023年ルール微調整とは

出典:

www.formula1.com

 先週の火曜日、FIA、F1、各チームのテクニカル・ディレクターが参加して技術諮問委員会が開催され、バウンシングの低減を目的として、2023年のレギュレーションに何点かの微調整が提案された。F1 の技術エキスパートであるマーク・ヒューズが、来年に向け何が検討されているのか、そしてそれらが各チームにどのようなインパクトを与えるのか、確認していく。

 スパから施行される予定の垂直方向の振動と、(先週解説した)フロアのプランクの弾性に紐付いていく変更に加え、FIA は 2023年、レギュレーションに4項目からなる変更を(世界モータースポーツ評議会の承認を条件として)加えることを発表した。バウンシング問題への対処が目的である。

フロアエッジを25mm引き上げ

 フロア側面の底上げは、後部のベンチュリ・トンネルと周囲とを物理的に密閉する上で、チームにとってより困難なものになるだろう。現在、この密閉によってアンダーボディで発生するダウンフォースを増大させているが、マシンによって多い少ないはあるものの、気流がストールし、ポーパシングのきっかけとなる危険を伴っている。

2023年、フロアエッジ―は25mm引き上げられる予定
ディフューザーの喉の引き上げ

 アンダーフロアのトンネル内で、経路が最も狭くなっている部分は『喉』と呼ばれており、ここで気圧を変化させ気流を大きく加速させることで、ダウンフォースを増大させている。

 この喉は、ドライバーが乗る位置の真裏あたりから、トンネルの後方へ向けた位置に設けられている。路面との隙間が数ミリメートルまで縮まると、気流は大きく加速するが、隙間がある1点を超えて小さくなると、気流はストールしてしまう。

 レギュレーションによって喉の天高を引き上げれば、マシンの裏面全体が、急激な車高変化に対して寛容になるだろう。

フロア側面のたわみの検査

 フロアエッジを引き上げると共に、側面のたわみ量を制限することで、フロア側面のエッジによってアンダーボディを密閉させる働きを抑えることができる。

より精密な垂直加速度の計測

 スパから行われる、垂直加速度の計測に用いられるセンサーは、以前から設置されていたもので、元々は事故の際の衝撃を記録するためのものだった。これらのセンサーは、今シーズン中はふたつの役割を担うことになるが、2023年には、更に精度の良い専用のセンサーが設置されることとなる。

 以上の措置は、オーストリアGP明けの火曜日に開催された F1 の技術諮問委員会を経て、FIA から公表された。このスポーツを統括する FIA は、本件についてこう要約している。「安全に関する問題に介入するのは、FIA の義務であり権利である。そしてレギュレーションでこれらの措置が認めらるのは、競技面で各チームそれぞれが置かれている状況に左右されることのない決定であることが明確だからだ」

「これらの措置は、世界モータースポーツ評議会に提出され、速やかに検討と承認がおこなわれる。フォーミュラ1に参戦する各チームがマシンを設計する上で、レギュレーションが明確であることは非常に重要だからだ」