2022年 F1第10戦 イギリスGP決勝レビュー

 フェラーリはダブルピットストップさせられなかったの?という疑問が最も大きいのだが、チャート(掲載は下の記事)を見ると、個人的には可能だったんじゃない?という気がする。

rotf.hatenablog.com

トピックはこの4つ。

フェラーリダブルストップ

SC導入直前のギャップ

 この差だからね。ダブルストップやらなアカンでしょ。例え、ルイスがサインツの前に出たとしても、コース上で取り返すチャンスはあったはず。チェコがルイスを攻略したんだから。つまり、かなりの確率で1-2、悪くても1-3のリザルトを、1-4位にしてしまった。しかも、サインツはルイスに対して1.9秒差あるんだから、シャルルにスタックするのが嫌なら、ピットエントリでこの差を使って、ルイスを引き付けることもできたはず。

 LiveTiming のリプレイも確認したけど、SC が入った時、先頭のルクレールはストウを抜けた辺り。ただし、オコンはかなり早くからスロー走行しており、黄旗の段階で、コース上で止まることは十分に予測できたはず。つまり、SC ならピットインという決めをしておくのに十分な時間はあったのだ。

 メルセデスレッドブルなら、ここは間違いなく、ダブルストップを敢行したに違いない。ピットエントリで、強かなスロー走行をしたかもしれない。この辺りが、ここ数年、タイトル争いから遠ざかっていた後遺症だろう。

角田とガスリーの接触

引き離されるガスリー

 角田のガスリーに対する動きは、まったく不必要なものだった。少なくとも最善とは言えない。しかし、最善とは言えないのは、チームの動きもそうだ。

 ガスリーは5周目にアロンソに抜かれたあと、徐々に離され、10周を終えた段階で4.5秒も離されている。1周0.9秒、かなり遅い。これは、角田、オコン、ラティフィ、ボッタス、リカルド、マグヌッセン、見方によってはシューマッハまで、要は実質、後続すべてを押さえ込むような遅さだ。決してチームが傍観してはいけない状況。上手に角田だけを前に出せれば、角田は後続とのギャップを築き、入賞を確実なものにできたかもしれないのだ。

 だだし、この序盤で角田を前に出したとして、果たしてガスリーを引き離すペースを出せるのか、判断に迷うところだろう。ガスリーとはこれまでの実績に大きな差があるのだから仕方がない。だからこそ、角田は無理に仕掛けるのではなく、チームに対してガスリーにターゲットタイムを要求し、自分ならそのペースで走れると主張するべきだった。タイヤ交換はまだまだ先なんだから、角田のペースが今ひとつなら、ポジションを戻せばいいだけの話。そしてチームは、角田には経験が少ないんだから、そのように誘導すべきだろう。しかも、角田とガスリーはセッティングが少し違い、ドライは角田に合ってたはず。

 チームは、角田が最善ではなかったと言う前に、チームとしての戦略も最善ではなかったことを認めるべきだ。

ルイスのファステスト

ルイスだけチャージラップ

 ルイスが最速ラップを持ってったけど、ルイスだけがチャージラップしているように見える。サインツは初優勝が懸かってるからそんな余裕がなく、シャルルはもうタイヤが限界だったとしても、チェコはトライしなきゃダメでしょ。

 レッドブルのストラテジストが考えないとは思えないから、その時の最速(1:30.813)を上回れないと思っていたか、実はチャレンジしたけど速くなかったか、かなり穿ってはいるが、ルイス(メルセデス)に1点持ってかれる分には構わないと考えたか。やっぱり、単に忘れてただけ?

アルピーヌの強さ

アルピーヌのペース

 アルピーヌというか、アロンソの速さが印象的に映ったけど、果たしてどうなのか。ラップタイムの推移を見てみると、確かに中団トップのペースはあるものの、驚くに値するかと言うと、そうでもない。と言うか、分からない。アロンソは終始、ノリスにスタックしていたし、オコンは落ちてきたフェルスタッペンにスタックした感があるからだ。

 判断できるのは、SC明けの数周なのだが、間違いないのは、マクラーレンよりもかなり速かったこと。その後、ルクレールを追いかけ回したけど、古いハードタイヤのシャルルを抜けなかったことを考えると、週末ごとに入れ替わる中団トップが、今回はアルピーヌだったってだけの気がする。

 速さというより、モントリオールの予選以降、アロンソの闘志に火がついているのが見てて楽しい。だから、動きが目立つんだろうね。夏休み前に表彰台とかあったらいいな。