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マイアミはメルセデスにとって決して成功裏の週末ではなかったが、シルバーアローは、彼らが手を焼く W13 に多くの新パーツを投入していた。マーク・ヒューズが、ジョルジョ・ピオラの技術イラストと共に、これらの新パーツとその効果を解説する。
マイアミの週末はチームにとって混乱したもので、メルセデスは厄介な W13 の3箇所に空力アップデートを導入した。
これらのパーツは、話題となっているポーパシングへの対策として設計されたものではない。3つのうち2つは、ローダウンフォースパッケージとして誂えられたもので、3つ目は、ハイダウンフォースが必要なトラックでも使用するような、標準的なアップグレードである。
まずは、ローダウンフォースパッケージを見てみよう。新しいリアウィングとビームウィングだ。アッパーウィングはメインプレーン(下段のウィング)の面積が小さくなり直線的な前端をしている。これは、アッパーエレメントが小さくなったビームウィングと連動するよう設計されている。
ビームウィングは、車体の下部の気流を、その上にあるメインプレーンの下側へ向け、ウィングがより機能するように導く。ウィングでより多くのダウンフォースを発生させると、ドラッグも大きくなる傾向になる。面積の小さいメインプレーンや、アッパーエレメントの小さいビームウィングによって、ダウンフォースの最大化よりも、ドラッグの削減を優先している。
メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング・ディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、詳細をこう語っている。「今年はここまで、ロードラッグのトラックでは、単に既存のウィングを切り欠いた物を使っていた。しかしこのウィングは、ロードラッグ用に設計されたものだ。また、製造するときには軽量化をおこなうから、車重の削減にも寄与している」
今年の殆どのマシンがそうであるように、W13 も最低重量を超過しており、ダイエットに取り組んでいる。
しかし、ローダウンフォースパッケージよりも興味深いのは、底辺のスロットを大胆に作り変えてきた、新しいフロントウィングのエンドプレートだろう。このスロットは、気流をウィングから横へ逃がし、タイヤの外側へアウトウォッシュするための通気口として機能する。
エンドプレート下部の角が全体的に斜めに切り取られ、ウィング部分が更に露出している。これらのエレメントによって、より多くの空気を外側へ迂回させている。トップエレメントの外端には小さな切り欠きがあり、これはヴォーテクス・ジェネレータとして機能し、迂回させる気流を強力にしていると思われる。
アウトウォッシュを強くすれば、アンダーフロアやサイドポッドに沿う気流はより整ったものとなるはずだ。レギュレーションによってバージボードが排除された今、アウトウォッシュを強くする別の方法を見出すことに、全チームが大きな関心を寄せている。そしてメルセデスは、エンドプレートのデザインを規定した新しいレギュレーションに対し、非常に独創的な解釈を見つけ出したのかもしれない。