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メルセデスがサーキット・オブ・ジ・アメリカズに持ち込んだ新しいフロントウィングは、レギュレーションに適合したものなのか、議論の的となった。
このウィングは元々、今週末のメキシコで初めて投入される予定で、オースチンでは、フリープラクティスで相関関係を確かめるにとどめていた。
しかし、この見た目の特徴 ― スロットギャップセパレータが5箇所に増やされている ― には、少なくとも1チームが懸念を抱き、FIA に問い合わせている。
ウィングを製造するあたっては通常、事前に CAD (computer-aided design) 図の段階で FIA の技術部門に提出するプロセスを踏む。
この時点で FIA は、a) そのコンポーネントの使用を許可するか、b) テクニカルレギュレーションのどこを満たしていないと考えられるのかの、いずれかを示す。
しかしながら、ここで利用の同意が得られたとしても、FIA の技術部門は公式に合法性を判断する部門ではない。この判断はレーススチュワードの責任であり、その合法性を FIA に照会したチームがなかったとしても、そのコンポーネントが合法だと決まったわけではない。これが今回、起こったことだ。
だが、いったい何が論争になっているのか? 焦点はスロットギャップセパレータの形状で、それは2枚のウィングの分離(スロットギャップセパレータ本来の役割)が主たる目的なのか、実は気流をフロントタイヤの外側へアウトウォッシュするものではないのか、という点である。
もちろん、両方であることはほぼ間違いない。そこで、主目的はどちらなのかという、微妙な問題になるのだ。もし主目的がアウトウォッシュの強化という判断が下されれば、発生する乱流を抑えるマシンを造ろうという、2022年のルールに反していることになる。
標準的なウィングでは、2枚の上段フラップの全幅を等間隔に区切るように、3箇所でスロットギャップセパレータが使われている。
新型は5箇所にセパレータがあり、内側に寄せられている。旧型よりも角度が大きく外側へ向いており、かつ、物理的にも大きくなっている。
FIA との協議を経てメルセデスは、オースチンのプラクティスでは、このウィングでの走行を見送ったが、今後の話し合い次第では、メキシコで使われる可能性もある。
メルセデスのテクニカルディレクターであるマイク・エリオットは、オースチンでこうコメントしている。「空力的な役割が二次的であることは間違いない。...が、この部分のレギュレーションでは、ひとつの目的ではなく、主目的と述べられている」
「だから、まだ議論が必要だとは思う。我々がそれを望むかどうかは、別の問題だけどね」