RB19 の秘訣を分析、ライバル達が恐れる理由とは?

出典:

www.formula1.com

 先週のバーレーンでのテストで、レッドブル RB19 が遂に姿を表し、最速のマシンであることを示した。この事実は別として、最も注目すべきは、RB19 が昨年のタイトル獲得マシンである RB18 と非常によく似ていることだ。

 レギュレーションでリアのフロアエッジが15mm、ディフューザーのスロート高が10mm引き上げられたため、フロアエッジと、アンダーフロアのほぼ全てを変更する必要があった。

 サイドポッドには若干の変更が加えられ、この過程で、ラジエーターが少し上に移されたようだ。目的は、より大きなアンダーカットである。

 理論的には、この(ポーパシング抑制目的で導入された)レギュレーション変更によって、アンダーフロアで発生するダウンフォースは減少し、ボディワーク下の側面を抜ける気流の総量と、アンダーフロアを通る気流の総量との最適な妥協点が変化するはずだ。

 空力担当者が使える気流の総量は限られており、最大限の空力効果が得られるように、その気流の全てを誘導する必要がある。

RB19(左)と RB18(右)を比較すると、より深くなったアンダーカットと、レギュレーションによって高くなったリアのフロアエッジに、それを埋め合わせるより強いヴォーテクスを生み出す複雑な処理が確認できる

 マシンの側面を抜ける気流は、そのままリアホイールの間へ向かうため、ディフューザーを通ってアンダーフロアを抜けてくる気流の働きに直接、影響を与える。ふたつの気流に圧力差が生まれ、アンダーフロアを抜ける気流をより速く引き抜くのだ。

 アンダーフロアに導かれた気流が速くなるほど、フロアで生成するダウンフォースが大きくなる。気流が不足すると、ストールすることもある。

 車高が下がる高速走行時だけでなく、低速コーナーで車高が上がった時や、ロール、ピッチ、ダイブといった、1周を通して変化するマシンの姿勢に応じて、このふたつの気流のバランスを保つことは非常に重要になる。

 サイドポッド前部の上側を微妙に変更し、コクピット後方を少し持ち上げたことから、ここに内蔵されているラジエーターの位置を変更したことが分かる。下側のアンダーカットを大きくするための空間を作り出したようだ。これによって、マシン側面へ導くことができる気流の最大容量が増加する。

アンダーカットを大きくするため、サイドポッド上面は形を変え、RB19 のボディワーク(上)は、RB18(下)と比べコクピット後方へ向けて膨らんでいる

 アンダーカットの屋根となっている部分は、より改善された『へり』となり、サイドポッド上面を抜ける気流と、アンダーカットによって生まれるチャネルを抜ける気流とを、より明確に分離できるようになった。

 これらの気流の干渉が少なくなれば、最終的にリアホイールの間で合流する時に、より大きなエネルギーを得ることができる。

 レッドブルは昨年、フェラーリメルセデスよりも洗練された外観を持つデザインで、グランドエフェクトカーの開発において重要になるアンダーフロアのダイナミクスで見事な結果を残した。

 最新のマシンには外見上、小さな変更しかなされておらず、これは当初から非常に理解度が高かったことを示している。バーレーンでのテストが示しているのは、他のチームは未だに追う立場だということだ。