僕の印象は観戦記にも書いたけど、ノリスのペナルティは不当、ペレスのターン4は取られても仕方ない、ターン6はペナルティが妥当。これは、motosport.com や F1LIFE channel など、一通り情報を見た（読んだ）今でも変わっていない。あとペナルティの内容として、5秒はともかく、ペナルティポイント2点（同じ行為を6回で出場停止）は重いと思ってるけど、この話はいいや。
まず、F1LIFE での米家さんの解説はすごく分かりやすかったので、この視点で検証してみた。つまり以下は、当該の YouTube 動画を観ていることが前提なので、ご承知おきを。
趣旨は、エイペックスで並んでいたのなら、両方のクルマにその先で争う権利がありますよ。だから相手のために1台分のスペースを残しなさいよ。というもの。非常に明確で、誤解のない考え方だと思うのだが、エイペックスって、きちんと定義されているの？という疑問を持った。エイペックスは、クリッピングポイント、即ち、レーシングラインがコーナーの内側に最も近づくところという解釈もできるし、単にコーナーの真ん中、即ち、言葉通り頂点という解釈もあると思う。前者は同じRでも、その先がS字なのか、ストレートなのか、とても長いストレートなのか、などで変わってくると思うし、マシンやドライバーによっても違う。後者は途中でRの変化したりふたつある複合コーナーだとややこしくなる。
しかし、この前のGPニュース（フジテレビNEXT）で、米家さん本人が、エイペックスはどこかということで、スチュワードの意見が分かれると言及していた。即ち、F1LIFE での解説は、単に、スチュワードは並んだところをエイペックスとみなしていたでしょうね、という内容なんだろう。
なので本当にノリスとペレスが並んだところはエイペックスなのか、というところから考えてみる。 前述の通り、エイペックスの定義が明確ではないので、フリーで走っていたマックス・フェルスタッペンのライン取りを見てみよう。
黄色い三角は、後続のノリスとペレスが接触したのと同一周回のフェルスタッペンのライン取りなんだけど、例えば、この中でエイペックスにいるマックスはどれですか？と問われれば、F1関係者ならずとも、ちょっとしたモータースポーツファンなら、間違いなく真ん中だと答えると思う。
そして、これとだいたい同じ位置でのノリスとペレスが、下の画像。
真ん中のエイペックス周辺では、明らかにノリスが前ですね。並んだのはもう外側の縁石に差し掛かってから。もしスチュワードが並んでいたところをエイペックスだと判断したのなら、明らかに資質を疑われるレベルかと。
米やんはスチュワードを尊重して、誰が担当しても同じ裁定を下せるよう一貫した基準で判断してる、と言ってるけど、そうは思えない。もしそうなら、出口に差し掛かってるところをエイペックスと判断した素人ってことになるからだ。任命されるのはそれ相応の知識と経験を持っている方々でしょう。
結局、確たる判断基準もないまま、その時々のスチュワードの裁量になってるか、エイペックスは関係なくて、いかなる場所においても真横に並んだ相手には1台分を残さなくてはならいかの、どちらかだと思う。これはザイドルやブラウンの抗議にも、マシの反論にも、エイペックスという言葉が出てこないことで補強される。まあ僕は、メディアの発信する情報しか分からないけれど。
マシはいつも、僕は悪くない！って言うけれど、その前に、チームに歩み寄る姿勢と、判断基準の明確化に努めるべきだ。スチュワードが独立した立場で裁定を下すという、いい仕組みが機能しない。曖昧なところを明確にして、前はこうだったのでノリスは有罪だったけど、今後はこう判断するから無罪になるケース（無罪にしたいのは単に僕の希望だが）だったね、という行動がマシに求められていることだ。
結局、僕の考えは変わらない。ノリスとのインシデントは、チェコが頑張り過ぎ。外からで仕掛けるなら、リスクは負うべきだ。シャルルとのインシデントは、ターン4はどっちもどっち。チェコへのペナルティは妥当だと思うけど、シャルルも楽観的に切り込み過ぎ。あの速度差、あの進入角度の違いなら、チェコがある程度オーバーシュートするのを見越し、もう少し安全に外を回るという判断が必要で、シャルルにとって難しいことではないだろう。勝負はもうついていた。チェコも頑張らなかったと思う。これが無ければターン6のインシデントは発生しなかった。ターン6 は、タイトな内側を選択したチェコが踏ん張れなかっただけ。ペナルティは妥当。マシは退任が妥当。
あと、セーフティーカー明けの1周目も、オープニングラップ同様の寛大な処置にして欲しいなあ。
