2021年 F1第17戦 アメリカGP 決勝

 2番グリッドから蹴り出し良くスタートしたルイス・ハミルトンメルセデス)が第1スティントは先頭。最初のタイヤ交換でマックス・フェルスタッペンレッドブル・ホンダ)にアンダーカットを許すものの、2回目のタイヤ交換では8周のオフセットを作り、終盤にフェルスタッペンに迫る。お互いが40秒を切る他車とは別次元の走りを見せ、緊迫した残り3周となったが、タイヤから全てを絞り出したフェルスタッペンが逃げ切って優勝。最後まで DRS を使わせなかった。

  1. ルイス・ハミルトンメルセデス
  2. マックス・フェルスタッペンレッドブル・ホンダ)
  3. セルジオ・ペレスレッドブル・ホンダ)
  1. 角田裕毅(アルファタウリ)

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決勝トップ10

 アンダーカットに成功した第2スティント開始時のギャップが6.5秒。暫くはこの差が続くものの、多分、ハミルトンがじっくり熱を入れてたんだと思う。差が縮まり始めるとフェルスタッペンはコントロールすることができなかったのか、3.5秒くらいになったところでアンダーカットを警戒して最後のタイヤ交換。トップはキープできたものの、8周のオフセットができてしまい、この時点で僕はやられたと思った。そして予想通りハミルトンがみるみる迫ってきたんだけど、フェルスタッペンもそこから自己ベストを出して応戦、ファイナルラップの S1 でパープルを叩き出すと、最後まで DRS を使わせずに逃げ切った。流石にファステストはハミルトンに持っていかれたけど、この終盤のペースには感動した。お見事。

 この1勝は、メルセデスの牙城を崩したという意味で、ポール・リカールに匹敵するインパクトがあったと思う。第2スティントでアンダーカットを警戒するあまり、かなり早い段階でタイヤ交換したのは、どちらかと言えば戦略ミスだろう。最後はマックスの気迫で逃げ切ったのだが、第1スティントで前の2台に食らいつき、ルイスにステイアウトを許さなかったセルジオ・ペレスの働きも見逃せない。ハードタイヤが1本しか残ってなかったため第2スティントで前から遅れてしまったけど、第1スティントでルイスがもっと引っ張ってたら、最後のオフセットは8周以上になって、より厳しい状況に追い込まれていた。3位表彰台で、ランキングもランド・ノリス(マクラーレン)を抜いて4位に浮上した。残り5戦、この位置で戦ってほしい。

 終盤のペースがあるなら第2スティントをもっと伸ばせたはずだけど、ハードタイヤでここまで頑張れるかなんて、やってみないと分からないから、仕方のない部分もあったかもしれない。前に出られた第1スティントで後ろについても抜けないことは分かっていたし、相手のストレートスピードを考えると、DRS を使われたらアウトなのも分かっていたと思う。この状況を鑑みて最後のピットストップを決めたなら、逆にものすごい見極めをしたことになる。

 角田裕毅はいい走りをしていた。ソフトスタートの不利が小さくなったことが大きかったけど、序盤はボッタスを押さえていたし、戦略が異なるアストンもロスなく抜き、ライコネンとも堂々と戦っていた。9位だけど、前の8台はトップの4チームだ。勝つべき相手には勝っていることになる。かなりいい走りだったと思うので、Driver of the Day には今シーズン初めて一票入れた。最後かもしれないからね...