メルセデスはバルセロナでのアップグレードでポーパシング問題を解決したのか?

出典:

www.formula1.com

 メルセデスは、スペイングランプリでフロアを大幅にアップグレードしたことが功を奏し、優勝争いに復帰する道を辿っていることを確信している。決勝では、ジョージ・ラッセルが真価を見せて表彰台を獲得、ルイス・ハミルトンは1周目にケビン・マグヌッセンのハースと接触したものの、驚異的なペースで巻き返した。

 チームはこのレースに先立ち、リアの車高を適切なものにできず、ダウンフォースを制限していたポーパシング問題を、今は理解できているという感触を得ていた。スペインへ向かう前に、ポール・リカールでの 100km のフィルミングデーを利用して、フロアに大幅なアップグレードをおこなっていたのだ。

上が新型、下が旧型。新しいフロアの後方はトンネルの天井が高くなっており、傾斜角も大きくなっているようだ。

 まだアンダーフロアは確認できていないが、フロア上面の見えている部分(下のジョルジョ・ピオラのイラスト)から、ベンチュリ・トンネルの形状を変えてきたと推測できる。フロアの外端は、切り身を捲り上げたような形(中央の赤矢印)をしており、必要に応じてトンネルの形状を調整するためのモジュールだと思われる。

従来のフロアと、挿入図に新しいフロア。外形だけでなく、フロアエッジの処理も大きく異なっている。改良したアンダーフロアに合わせて、独自の渦流制御をおこなっている。

 そのすぐ内側では高さが増しており、この部分のトンネルの天高が大きくなっていると読み取れる。トンネル内部の形状が全体的に変更されたことが、車体後方の傾斜の増大として現れているのだろう。

 天井をより高く、傾斜をより大きくすることは、理論上、車高が最も下がったところで気流がストールし、ポーパシングの発端となることを抑えることが目的とされる。「ストレートをバウンシングせずに走れたのは初めてだよ」とハミルトンは語る。「まだ少し残ってるけど、良くなっている」

「クルマの反応が以前とはまったく異なる」と、ラッセルも同様だ。「良くなっているよ」

 ストレートでのポーパシングの解消は、ストレートラインスピードの大きな助けとなる。ハミルトンは予選のトラップで最速だった。

 添付のグラフから、バウンシングが如何に劇的に減少したかを確認することができる。バルセロナでは、W13 は最もバウンシングに悩まされていないマシンのひとつだった。

チーム別のポーパシング幅(スペイン決勝)

 現在、マシンのセットアップは、ポーパシングを制御する以前の車高を上げたものとはまったく異なっており、チームは本来の開発を進められると自信を持っている。そしてまた、多くの開発の余地があると確信している。