2022年 F1第8戦 アゼルバイジャンGP 決勝

 最速のマシンを持っているにもかかわらず、フェラーリの悪夢は終わらない。まずカルロス・サインツがメカニカル・トラブルでマシンを止める。その VSC でタイヤ交換したシャルル・ルクレールがトップを取り返したものの、パワーユニット(恐らくターボ)にトラブルが発生、ピットに戻りそのままリタイア。チームはまさかのノーポイント。更にその後、フェラーリパワーユニットには次々とトラブルが発生した。

 ライバルの自滅に助けられたレッドブルは、余裕の1-2フィニッシュ。マックス・フェルスタッペンが今季5勝目、2位のセルジオ・ペレスもランキングでルクレールを抜き、コンストラクターズではフェラーリに80ポイントもの大差をつけた。

  1. マックス・フェルスタッペンレッドブル
  2. セルジオ・ペレスレッドブル
  3. ジョージ・ラッセルメルセデス
  1. 角田裕毅(アルファタウリ)
これではチャンピオンシップは戦えない

 開幕から優勝、2位、優勝、レッドブルの信頼性トラブルを尻目に、圧倒的なスタートを切ったフェラーリから、誰が今の状況を想像しただろうか。アルファロメオとハースにもトラブルが出ており、パワーユニットに深刻な問題があることは明らかだ。強力になった反面、ターボが新しいグランド・エフェクトカーの振動に耐えられないのかもしれない。既に基数超過によるペナルティは決まったようなもんだし、パワーユニットの信頼性を上げるのは簡単なことではない。夏休みを迎える頃には、メルセデスに逆転されている可能性すらある。とにかく、ルクレールが可哀想だ。何とか巻き返してほしい。

 今回ばかりは、ルクレール対フェルスタッペンの争いを最後まで見たかった。9周のオフセットで13秒だったから、見応えあったはず。しかもハードタイヤのデグラデーションはネガティブに見えたから、ルクレールが有利だったかもしれない。公式アプリを見直すと、VSC 導入時、ルクレールはピットエントリの直前にいた。ここで入れると判断し、見事に対応したチームも素晴らしかったと思う。勝ってたら士気も上がっただろうに。ま、自分たちが招いた VSC だけど...

ふたりとも強いレッドブル

 今シーズンのレッドブルの戦いは、昨年のメルセデスのようだ。スタートで先頭に立ったチェコに、サインツがついていけなかった。今回はふたりとも同じ戦略になったけど、もしマックスがシャルルを攻略していたら、続けてチェコも抜いていただろう。それくらい、ふたり揃って速い。DRS だけはまだ楽観できないけど、開幕後に足を引っ張ったトラブルは影を潜めている。昨年、メルセデスと一年を通してしのぎを削ったチーム力は、本当に侮れない。

 でも今回、レッドブルのピットストップ、遅かった。どれもガンマンの交換完了スイッチのように見えたんだけど。2強だと、こういうことやっても安泰だから、ちょっとつまらないよね。いずれにせよ、バルセロナのようなハイダウンフォースではフェラーリに太刀打ちできないが、ローダウンフォースなら決勝では戦えることが分かった。次のモントリオールも期待できるトラックだろう。相手は信頼性に大きな懸念があるし、もしかして、夏休み前に圧倒的な差をつけちゃうかも?

角田、残念!

 スタートでセバスチャン・フェッテル(アストンマーティン)に抜かれた角田だけど、その後は落ち着いて走り、ペースも悪くなかった。フェッテルがエステバン・オコン(アルピーヌ)に仕掛けてコースオフした際にポジションを取り戻し、その後は履歴のかさむハードタイヤで、チームメイトのピエール・ガスリーからコンマ数秒落ちを維持。それほど離されずについていけてた。最後の VSC でステイアウトを選択したので、タイヤ交換したルイス・ハミルトンメルセデス)に抜かれたけど、それはガスリーも同じ。そのままフェッテルを抑えてガスリーに続く6位は十分狙えた。..はずだが、DRS のトラブルによりブラック&オレンジフラッグが振られ、強制ピットインでポイント圏外へ。初めて週末通して戦闘力を発揮できただけに、非常にもったいなかった。残念!