2021年 F1第9戦 オーストリアGP 決勝

 レッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが、3戦連続のポール・トゥ・ウィン。今週はファステストラップも取ってハットトリックを達成。チームはモナコから5連勝で、ホンダにとっては33年ぶり。2位にはメルセデスバルテリ・ボッタスが今季初、3位には2番グリッドからスタートしたマクラーレンのランド・ノリスが入った。ルイス・ハミルトンは一時は2位を走行したが、マシンにダメージを負ったこともあり、4位に後退。アルファタウリの2台はソフトスタートが機能せず、ガスリー9位、角田12位。角田はピットエントリで2回、同じペナルティを受けた。

  1. マックス・ フェルスタッペン(レッドブル・ホンダ)
  2. バルテリ・ボッタスメルセデス
  3. ランド・ノリス(マクラーレン
  1. 角田裕毅(アルファタウリ)
全周リードのグランドスラム

 マックスは完璧だった。ルイスがノリスを抜いた後のペースを見ると、マックスと互角のように思えるが、マックスはやろうと思えばもっと速く走れたはず。これは、新品のハードで出した1分6秒2というファステストラップから明らかだ。シュタイアーマルクGP の結果から推測された通り、タイヤが1段階柔らかいアロケーションになったことで、強さはより際立った。気温が低くても関係なかった。

 ただ、ここはレッドブルリンク。ルイスが比較的苦手とするボギーサーキットなんだから、シルバーストーンは、やっぱりポール・リカールに近いか、それ以上にメルセデスに合っていると判断すべきだ。シルバーストーンメルセデスを倒すことができれば、いよいよマックスがチャンピオンシップの大本命となる。

 雨が降らなくてホント、よかったよ。

ペナルティ祭り

 ペレスとノリスのインシデントに始まり、レース中のみならず、レース後にも審議がおこなわれ、多くのドライバーがペナルティを受けた。

 個人的には、ペレスとノリスの件は、レーシングインシデントだと思う。ペレスが頑張りすぎで、あの動きをするなら、押し出されるリスクは承知すべきだ。2年前のフェルスタッペンとルクレールとのインシデントと矛盾する。ペレスとルクレールの件はもう少し微妙だと思うけど、ターン4の接触に関しては、お互い様かな。確かにルクレールのノーズは前に出てたけど、相手の進入速度を考えたら、楽観的にインに切れ込みすぎだろう。もう少し外を回って接触したのならペナルティが妥当だけど、ペレスならそれは回避したと思う。ターン5から6にかけての接触は、ペレスにペナルティでも仕方ない。明らかにルクレールは前に出ていたし、速度差もあった。ペレスが不必要に踏ん張って膨らみ、ルクレールを押し出したと考える。

 ペナルティが無ければノリスはタイヤ交換後もボッタスの前に留まれたし、ペレスもサインツに5位を奪われることはなかった。

結局、1ストッパーが有利

 シュタイアーマルクGP の状況を踏まえると、今週は2ストッパーが主流と考えられていたが、気温が低かったからかな? 結局は、1ストッパーが有利となった。それも、より硬いタイヤでスタートした方が良かった。

 そんな中、9位で2点を持ち帰ったガスリーは素晴らしかったと思う。チームが金曜日からミディアムタイヤを惜しみなく使ってたから心配していたけど、嫌な予感は的中してしまった。ソフトで走ったら Q2 を通過してしまうクルマを持っていることは分かっているはずだ。雨に期待していたのか、気温に期待していたのかは分からないが、絞り込んだ戦略を柔軟に変えられないという、チームの弱点が露呈されたと思う。イモラもそうだった。

 終盤のアロンソラッセル、サインツ対リカルドは面白かった。アロンソは最近好調で、ベッテルに邪魔されて Q2 で脱落していなければ、10位をかけて戦ってはいなかったはずで、ラッセルは抜かれても仕方がないと思う。リカルドも予選の不調からすると素晴らしいレース運びで、サインツに抜かれたことより、ルクレールの前に留まったことで十分に評価されるべき。残念なのは、もう少しキレイに抜かれてたら、チェコの10秒以内でゴールできたかもしれない。

角田の成長

 角田は今回、よくやったと思う。ジョビナッツィとラティフィを攻略するのに、かなりの時間を要してしまった。ガスリーに少し及ばず、評価は米やんのラジオ通り。でも、僕はここまで来てくれたことが嬉しい。

 前のクルマに仕掛けるにはどうしたらいいか、自分の思うような走りをするためにデプロイ、デフ、ブレーキバランスなどはどう変えればいいのか、今はエンジニアに頼っている状況だけど、今週末のような経験を積むことで、どんどん学んでいける。そうすれば、自分の意見を出せるようになるし、フィードバックがガスリーと逆になってしまう理由にも到達するだろう。

 ソフトスタートにしたのはチームの問題なので、ポイント圏外は気にしない。手持ちのツールを理解し、それを使いこなせるようになるための経験を積めた、いいレースだったと思う。