メルボルンで投入されると考えられるメルセデスのメジャーアップデート

出典:

www.formula1.com

 マーク・ヒューズが、今週末のオーストラリアグランプリで、シルバーアローがパフォーマンスの改善を狙ってメルセデス W13 に投入してくる大規模なアップデートを予測する。技術イラストは、ジョルジョ・ピオラの提供。

 メルセデスは、今週末のメルボルンで、マシンを大きく変えてくることになっている。間違いなくリアウィングは一新してくるだろうし、それに伴って、フロアも変えてくるかもしれない。

 これは、彼らがその存在を疑わない W13 の潜在能力を引き出すための開発計画における、最初のアップデートである。しかしこの変更は、悩まされている空力的な問題に対する応急処置に過ぎず、根本的な対策が必要で、チームはこれを追求している。

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ジェッダでのメルセデス(左)とレッドブル(右)のリアウィングを比較すると、メルセデスのメインプレーンが非常に大きいことが分かる。メルボルンで導入するウィングは、ここを削ってくるだろう。

 クルマはひどいポーパシングが原因で、開発時のシミュレーションとはかけ離れた空力セットアップで走ることを余儀なくされており、特にリアウィングには大きな影響を与えていた。ポーパシング問題により、アンダーボディで発生させるダウンフォースが、シミュレーションでの期待値に及ばす、問題を抑えておくための唯一の方法は、車高を高くすることだった。

 先週の Tech Tuesday で議論した通り、これはポーパシングの発生を回避する方法としては下策であり、ダウンフォースだけが低下し、ドラッグは殆ど減らない。他の方法であれば、ドラッグをいくらか減らすことができる。より望ましい方法は、ローダウンフォースのリアウィングで走ることだが、製造が間に合わなかった。

 レギュレーションでコストが制限されている状況下では、予備のコンポーネントをいつ、どのように製造するかにおいて、チームはかなりの自制心を要求される。そのためバーレーンサウジアラビアでは、問題の軽減に役立つはずだったローダウンフォースのウィングは、その必要性を予測できなかったため、準備されなかったのだ。

 ジェッダで使われたウィングは、バーレーンのものよりローダウンフォースになっていたが、開幕戦では用意できなかった。更にローダウンフォースのウィングは、まだ製造中で、ジェッダには間に合わなかった。

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メルセデスがジェッダで使用したウィング(下)は、バーレーンでも、実際に使用したもの(上)より有効だったと考えられるが、その時には間に合わなかった。

 今週末のメルボルンで投入されるリアウィングは、ジェッタで使われたものよりメインプレーンが小さいと考えられている。アルバート・パークは基本的に、ジェッダよりもハイダウンフォースのトラックであるにも関わらずだ。これは、このオーストラリアのトラックにレイアウト変更が行われ、特にターン9-10のシケインが無くなった(高速化を狙って全開区間に変わった)ことで、以前よりもロードラッグのクルマに有利になったことを示している。とは言え、ジェッダほどではないが。

 メルセデス W13 は、車高を上げざるを得ないことで、チームが理想とするものより大きなリアウィングで走行している。メルボルンでは、そうならないことを祈るばかりだが、ポーパシング問題をどう解決するかという根本的な問題は残されたままだ。これにはフロアの再設計が必要だろう。

 これまでの2戦を平均すると、メルセデスは予選でポール・ポジションから約0.7秒遅れていた。今週末、W13 の競争力が上がったとしても、それは完全な解決へ向けたほんの一歩に過ぎない。