2023年 F1第3戦 オーストラリアGP決勝(チャート付)

 JST に近いタイムゾーンと、FIA にデータが上がるのが早かったので、楽だった。チャート画像は、一番下にありますが、チャートから読み取れることはあまりないかと。あ、赤旗期間は SC 扱いの色になってます。

 マックス・フェルスタッペンレッドブル)がポール・トゥ・ウィンで今季2勝目。予選最後尾だったチームメイトのセルジオ・ペレスは5位まで追い上げるのが精一杯で、チャンピオンシップの差は広がることとなった。2位には今季初表彰台のルイス・ハミルトンメルセデス)が入り、開幕3戦3連続3位のフェルナンド・アロンソアストンマーティン)が続いた。波乱と言うには人為的な気もするが、3度の赤旗中断をくぐり抜けたマシンは、わずか12台。生き残った角田裕毅(アルファタウリ)も10位で今季初ポイントを獲得。

  1. マックス・フェルスタッペンレッドブル
  2. ルイス・ハミルトンメルセデス
  3. フェルナンド・アロンソアストンマーティン
  1. 角田裕毅(アルファタウリ)
グランドエフェクトが成功した今、F1の課題はレース運用

 ジェッダでも VSC と思われる状況で SC 導入、今回は SC で済むと思いきや赤旗。ホワイティングやマシの頃と比べて、見ていて意外な判断が多すぎると思う。コントロールタワーに集まってくる情報では違うのかもしれないし、スチュアードだけの問題ではないと思うけど、大して役に立たない中心線引いたり、フェンスよじ登るなって言ってる場合じゃないと思う。

 僕が判断の一貫性よりも重要だと思うのは、赤旗中断時の順位。SC 導入を経て赤旗となった場合、今回のように先に飛び込んだドライバーが大きな不利を被る。赤旗直前の継続した SC、あるいは VSC ピリオドは、赤旗中断に至る一連のアクシデント期間として、再開時の順位に反映されないようにすべきだ。こうすれば、少なくとも先に飛び込んだ連中の損は、低速走行中のタイヤ摩耗だけで済む。こっちの問題のほうが、一貫性よりも優先だと思うけど、果たして気づいてくれるだろうか...

冷静だったフェルスタッペン

 ライバルからすれば、スタート後のターン3までに仕掛けるしか、フェルスタッペンを倒す術はない。これを利用したのがメルセデスの2台、ジョージ・ラッセルとハミルトンであり、逆にフェルスタッペンも、このことを理解していた。蹴り出しは映像でも明らかにホイールスピンが多く、ラッセルに競り負けたのはこれが原因だとしても、ターン3の脱出で寄せてくるルイスに対して引いたのは、素晴らしい判断だったと思う。1周目を無事に回ってきたことが、勝因だった。

 でも、終盤のターン13でのコースアウトは意外だった。後ろとの差をコントロールしてクルージングしていると思ってたからね。FP からチェコが苦しんでいたように、フロントタイヤをロックさせやすいアンチ・ダイブのジオメトリが一因だったりするのかな。ここがライバル達の付け入る隙なのかもしれないが、SC 明けに2位のハミルトン抜き去ったパフォーマンスは、そうそう埋められるものではない。

頑張った角田、ご褒美のような今季初ポイント

 今回も SC による幸運で順位を上げた角田。理不尽とも言える4箇所もの DRS ゾーンによる不利で、ライバル達に次々と抜き去られていった。ただ今週末も最大限の抵抗を示し、マシンの戦闘力以上に頑張っていることは十分に示されたと思う。更に、残り2周の再スタート。エステバン・オコン(アルピーヌ)に『自殺行為』と言われるほどのハードブレーキングで、一時的に5位まで上がってみせた。

 ただ本人も認識している通り、アクシデントに助けられた順位であることは確かなんだから、喜んでいる時間なんてなく、AT04 はフィールド上で最も遅いマシンであることを受け入れなければならない。ファンとしては、アルピーヌの同士討ちさえなければ、赤旗ではなく SC だった可能性は高く、10ポイントを失ったのは残念だが、ノーポイントすら考えられるシーズンなだけに、喜んでおこう。

方針転換を躊躇させるメルセデスの好調さ

 高い信頼性を示してきたメルセデスの PU にトラブルが発生したことは意外だったけど、今週末は、W14 がフィールド上で2番目に速いマシンだったと思う。AMR23 が同率2位かもしれないが。

 昨年のインテルラゴスがそうだったように、この結果は、チームが認めたゼロポッドからの方針転換を躊躇させるものだったように思う。僕は個人的に、自他ともに言われるほど、ゼロポッドが悪いとは思ってない。アロンソの活躍を除けば、フェラーリよりは速いし、去年の今の時期より上位にいることは確か。レッドブルとの差を考えると、全チームがコンセプト変更に匹敵するくらいの躍進が必要で、そのなかでもメルセデスは善戦している方だと思うんだけどね。

デ・フリースとサージェントの苦戦

 チャートを何も使わないってのは何なんで、ウィリアムズのアレクサンダー・アルボンに対するローガン・サージェントのペース、アルファタウリの角田裕毅に対するニック・デ・フリースのペースが今ひとつに見えたので、確認してみた。まあ、アレックスは序盤でいなくなっちゃったから、デグがどうだったかは分からないけど。

VER, DEV, SAR のラップタイム比較

 デ・フリースとサージェントは、デグラデーションが大きく、1ストップで走り切れていない。マシンの戦闘力が無いってのが原因なんだろうけど、角田は走り切ったし、恐らくアレックスにも可能だっただろう。今年のピレリタイヤは、レースでの扱い方が難しいのかもしれない。思えば角田も、予選はガスリーに匹敵する速さを示せるようになってからも、レースペースは遅れることが多かった。

 また、彼らがどれくらい遅かったかと言うと、第2スティントのラップタイムが、トップのマックスがコースオフしてしまった時のラップタイムより少し速い程度なのだ(赤丸)。これはもう、別カテゴリと言われても仕方がないくらいの差である。

 そのレッドブルには今季、DRS を使った時のゲインが非常に大きいという武器がある。その顕著な例が、ハミルトンを抜き去った12周目のラップタイム。まだ熱の入っていないハードタイヤで、1秒以上のゲインを得ている。こんなの、防御できるわけないよね。

動かせるグラフ

 

操作方法(スマホでも動きますが使いにくいよ)
  • 軸上のマウスホイールで拡大/縮小(ポインタの場所が中心、スマホのピンチもOK)
  • プロットエリアと軸上でドラッグするとパン
  • Top 3, 6, 10 のプリセットは、ctrl を押しながらクリックで反転
画像はここ

2023 オーストラリアGP ギャップ

2023 オーストラリアGP ラップタイム